
亜鉛が不足すると、味覚障害、皮膚炎、食欲不振などが起こることが知られています。
ただし、これらの症状は亜鉛以外の原因でも起こりえます。
症状だけで「亜鉛不足」と決めず、気になるときは医療機関に相談することが大切です。
この記事では、亜鉛の役割、不足が起こる背景、症状として挙げられているもの、食事の目安、摂りすぎの注意点を、公的機関の情報をもとに初心者向けに説明します。
亜鉛は体に欠かせない必須微量元素です。不足すると味覚障害・皮膚炎・食欲不振などが知られていますが、似た症状は他の問題でも起こります。
食事で幅広い食品から摂ることを基本に、サプリメントは摂りすぎにも注意し、不安があれば医療機関や薬剤師に相談しましょう。
亜鉛とは?体の中での主な役割

亜鉛は、ヒトの健康と栄養の維持に重要な必須微量元素のひとつです。
多くの酵素に含まれ、遺伝子発現やたんぱく質合成など、細胞の成長と分化に中心的な役割を果たしています。
体内には約2,000mgの亜鉛があり、歯、骨、肝臓、腎臓、筋肉に多く含まれます。
米国NIHの情報を日本語に訳した厚生労働省eJIMのページでも、亜鉛は免疫系を助け、DNAやたんぱく質を作る際に使われ、傷の治癒や味覚の認識にも重要とされています。
妊娠中から思春期までは、成長と発育のために亜鉛が必要です。
亜鉛が不足するとどんな症状が知られている?

亜鉛が不足すると、味覚障害や皮膚炎、食欲不振などが起こることが知られています。
ただし、その詳しいメカニズムは分かっていません。
近年の日本では、若年成人女性で味覚機能の低下と低亜鉛状態との関連が報告されています。
このほか、免疫機能の低下、皮疹、創傷治癒障害、慢性下痢、貧血、催奇形性、精神障害などが起こる可能性があるとされています。
小児では成長障害や性腺発育障害がみられます。
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年齢によって話題になる症状が違う
亜鉛欠乏症は、乳幼児や子どもで下痢、成長の遅れ、食欲不振を引き起こし、年長児では脱毛や頻繁な感染症につながるとされています。
年齢に関係なく味覚や嗅覚が失われる可能性があり、高齢者では傷の治りが遅くなったり、思考力や記憶力に問題が生じたりする可能性があります。
挙げられている症状の多くは、亜鉛欠乏症以外の問題の徴候である可能性もあります。
気になる徴候があるときは、亜鉛欠乏症の可能性も含めて、今かかっている医療機関に判断してもらうよう案内されています。
亜鉛不足はどのようにして起こる?

亜鉛の不足は、食事からの摂取不足、需要の増加、排泄の促進によって起こります。
亜鉛が添加されていない高カロリー輸液や経腸栄養の施行時にも不足することがあり、亜鉛と錯体を形成する薬剤の服用でも不足が起こると報告されています。
不足しやすいとされる状況(米国の情報)
eJIMの米国情報では、ほとんどの米国人は普段の食事から十分な亜鉛を摂っているものの、特定の集団では十分に摂ることが難しい場合があるとされています。
次のような例が挙げられています。
- 減量手術などの消化管手術を受けた人、潰瘍性大腸炎やクローン病などの消化器疾患がある人(吸収が減り、尿中への排泄が増えるため)
- 肉を食べないベジタリアンやビーガンの人(豆類や穀物にはフィチン酸塩が含まれ、亜鉛の吸収を低下させるため)
- 妊娠中や授乳中の人
- 母乳で育てられている月齢の高い乳児(生後6カ月以降は母乳だけでは必要量に足りないため)
- アルコール使用障害のある人(吸収が減り、尿中に失われる量が増えるため)
日本人の基準は「日本人の食事摂取基準」で確認するよう案内されています。
薬との関係
薬が体内の亜鉛濃度を下げる場合もあります。
たとえばチアジド系利尿薬は尿中に失われる亜鉛の量を増やし、長期間の服用で体内の亜鉛が減る可能性があると説明されています。
服用中の薬やサプリメントは、医師や薬剤師に伝えておきましょう。
亜鉛を含む食品と食べ方の考え方

小腸での吸収率は約30%といわれていますが、摂取量や同時に摂る鉄・銅の量と互いに影響し合って変わります。
サプリメントで補うときの注意点:摂りすぎも問題に

亜鉛は毒性が極めて低いとされ、通常の食生活で過剰症が問題となることはあまりありません。
一方で、急性亜鉛中毒では胃障害、めまい、吐き気がみられます。
継続的な過剰摂取では銅や鉄の吸収が妨げられ、貧血、免疫障害、神経症状、下痢、HDLコレステロールの低下などが起こるおそれがあります。
亜鉛は、基準を満たした場合に栄養機能食品として表示できます。
下限値は2.64mg、上限値は15mgで、「味覚を正常に保つのに必要な栄養素」などの表示が認められています。
また、キノロン系やテトラサイクリン系の抗菌薬などは亜鉛サプリメントと相互作用する可能性があり、服用の間隔を空けるよう案内されています。
薬を使っている方は、自己判断で始めず薬剤師などに確認してください。
気になる症状があるときの相談先
味覚の変化、皮膚の状態、食欲の低下などが続くときは、まず今かかっている医療機関(医師、管理栄養士、薬剤師など)に相談しましょう。
亜鉛以外の原因が隠れている場合もあるため、自己判断でサプリメントを大量に摂るのは避けたいところです。
相談の際は、次の点をメモしておくと伝えやすくなります。
- 気になる症状と、いつ頃から続いているか
- 普段の食事の内容(肉・魚・豆類などをどのくらい食べるか)
- 服用中の薬、使っているサプリメントや義歯用クリームなど
- 持病や、消化器の手術歴、妊娠・授乳の有無、飲酒の習慣
まとめ
亜鉛は酵素の構成やたんぱく質合成、免疫の調節などに関わる大切なミネラルで、不足すると味覚障害、皮膚炎、食欲不振などが知られています。
ただし似た症状は他の原因でも起こるため、気になるときは医療機関に相談しましょう。
日々の食事では、肉、魚介、豆類、種実などを組み合わせ、サプリメントを使う場合は上限と薬との相互作用に注意してください。
