MENU

更年期のイライラや気分の落ち込みはなぜ起こる?心の変化との向き合い方を考える

この記事は広告・プロモーションを含んでおります。
顎に手を当てて悩む女性と、目を閉じて穏やかに微笑む女性が矢印で結ばれ、「イライラ」「気分の落ち込み」「心の変化との向き合い方」の文字が添えられた図。

更年期にイライラや気分の落ち込みが出ることは珍しくありません。

主な背景は女性ホルモン(エストロゲン)の変化ですが、それだけで決まるわけではなく、性格や考え方の傾向、家庭や職場での状況、睡眠の質などが重なって、症状の出方や強さに個人差が生まれると考えられています。

この記事では、心の変化がなぜ起こるのか、睡眠との関係、日常での向き合い方、相談先と受診の目安を、公的機関の情報をもとに初心者向けに整理します。

この記事の要点
  • 更年期の心の変化は、ホルモン、心理、社会の要因が複雑に絡み合って起こると考えられています。
  • イライラ、気分の落ち込み、不安、意欲の低下、不眠などは更年期に現れる症状として挙げられています。
  • 症状により生活に困難が生じるときは、受診を考える目安になります。
  • 更年期以外の病気が隠れていることもあるため、自己判断だけで済ませないことが大切です。
【監修】乾 雅人 銀座アイグラッドクリニック 院長

監修者

銀座アイグラッドクリニック 院長
乾 雅人
(紹介ページ)

2010年、東京大学医学部卒業。同大学附属病院で初期臨床研修、外科専門研修を修了。同大学大学院では外科学(呼吸器外科)を専攻し、肺移植領域の研究に従事。2020年、銀座アイグラッドクリニックを開業。臨床行為に従事する傍ら、医療コンサルティング会社も経営。総合病院や製薬会社、保険会社、会計事務所などの業務を補佐し、医療の社会問題化と向き合っている。NMNの上位互換である5デアザフラビン(TND1128)臨床研究の第一人者でもあり、眠れる知財の普及に尽力している。

目次

そもそも更年期とは?まず用語を整理する

更年期は閉経前後5年ずつの約10年間とする時間軸、閉経の説明と平均閉経年齢約50歳、軽い更年期症状と日常生活に支障が出る更年期障害の違いを、女性のイラストで示した三部構成の図。

女性の場合、閉経の前の5年間と閉経後の5年間を合わせた約10年間を「更年期」といいます。

閉経とは、卵巣の活動が次第に消え、月経が永久に停止した状態のことです。月経が12か月以上来ない状態が続いたとき、1年前を振り返って閉経と判断します。

日本人の平均閉経年齢は約50歳ですが、早い人では40歳代前半、遅い人では50歳代後半と個人差が大きいとされています。

もう一つ押さえたいのが言葉の違いです。更年期に現れるさまざまな症状のうち、他の病気に伴わないものを「更年期症状」といい、その中でも症状が重く日常生活に支障を来す状態を「更年期障害」といいます。

つまり、イライラや落ち込みがあっても、生活に大きな支障がなければ更年期症状、支障が大きければ更年期障害という整理になります。

更年期に現れる「心の変化」にはどんなものがある?

更年期の心の変化として、イライラ、ゆううつ、意欲低下、情緒不安定、不安感、不眠、集中力低下を女性の表情イラストで示し、体の症状との同時発症や個人差も説明する図。

心の面の症状として、公的機関のページには次のようなものが挙げられています。

  • 怒りやすい、すぐイライラする
  • くよくよする、ゆううつになる
  • 気分の落ち込み、意欲の低下
  • 情緒不安定
  • 不安感、抑うつ
  • 不眠(寝つきが悪い、眠りが浅い)
  • 集中力の低下、物忘れ

心の症状は、ほてりや動悸、肩こり、疲れやすさといった体の症状と同時に出ることもあります。

「何となく不調」という漠然とした形で現れることもあり、更年期外来の対象にも「何となく不調」が含まれています。

人によって出方が違うため、他の人と同じ症状がないからといって更年期ではないとは言い切れませんし、逆に周りと同じでないことを心配しすぎる必要もありません。

なぜ気分が揺れやすくなるのか:ホルモンだけではない理由

悩む女性を中心に、ホルモンの変化、心理的要因、身体的要因、社会的要因を四つの円で示し、下部で初期症状から不満やストレスを経て精神的な症状が悪化する流れを説明した図。

エストロゲンの低下と自律神経

更年期障害は、エストロゲンという卵巣ホルモンの低下にともなう自律神経の失調症状と、情緒不安定・うつ状態などを中心とする精神神経症状が主な症状として現れるとされています。

エストロゲンは月経周期だけでなく、骨、脂質代謝、血圧調整、皮膚、脳血流量や記憶・認知能力などにも関わるため、減少すると多方面に症状が出やすくなります。

心理的・社会的な要因が重なる

ホルモンの変化だけでなく、几帳面や完璧主義といった心理的な要因、家族の介護や子どもの親離れ、夫や社会との関係といった社会的な要因も、症状の程度に影響すると考えられています。

岐阜市のページでも、ホルモンの減少に加え、加齢などの身体的因子、成育歴や性格などの心理的因子、職場や家庭の人間関係などの社会的因子が複合的に関与するとされています。

就労環境や介護、家庭環境といった生活背景が症状に影響する点は、国立成育医療研究センターの更年期外来の説明にもあります。

ですから「気分の変化はホルモンの影響だけで説明できるのか」という疑問への答えは、「ホルモンは大きな要因の一つだが、それだけではない」となります。

気持ちの揺れを「自分の性格や努力不足のせい」と考え込まなくてよい一方、生活の負担を見直すことも、症状との付き合い方の一部になります。

症状への不満が悪化の引き金になることも

初期症状は「だるい」「寝付けない」といった曖昧なものが多く、更年期と気づかないまま、体が思うようにならない自分への不満がストレスとなり、精神的な症状を悪化させるケースが多いとされています。

そのため、更年期の症状について事前に正しい知識と対処方法を知っておくことが大切だと説明されています。

睡眠の悩みと気分の変化の関係

更年期に起こりやすい不眠症やホットフラッシュなどが、心理的要因や生活のストレスと重なって眠れない状態になり、不眠の慢性化とイライラ・落ち込みの悪循環につながる流れと、医師への相談を前提とした治療の選択肢を示す図。

更年期の睡眠は、気分とも結びつきやすいテーマです。

e-ヘルスネットでは、更年期は不眠症や閉塞性睡眠時無呼吸にかかりやすくなると説明されています。

加齢で睡眠が浅く短くなることに加え、のぼせ・発汗・動悸(ホットフラッシュ)がきっかけで深く眠れないことが多いようです。

さらに、これをきっかけに睡眠へのこだわりが強くなったり、眠れないことへの恐怖が生じて不眠が慢性化したりすることもあるそうです。

更年期にはホルモンの減少だけでなく、子どもの独立や体の衰えなど多くのストレスに直面して症状が悪化することもあります。

眠れない日が続くとイライラや落ち込みを強く感じやすくなる、という悪循環に注意が必要です。

なお、ホルモン補充療法などの更年期症状の治療が不眠の軽減に役立つことがあるとも説明されています。治療の可否は体質や持病で異なるため、医師への相談が前提です。

睡眠の変化を知る方法として、e-ヘルスネットは月経周期と睡眠の関係について、睡眠日誌(カレンダーでも可)に数か月記録する方法を紹介しています。更年期でも、眠れない日や気分の波をメモしておくと、受診時に伝えやすくなります。

日常でできる向き合い方の考え方

今回確認できる公的情報では、更年期の気分の変化に対する具体的なセルフケアの方法(食事、運動、呼吸法など)の効果は十分に示されていないため、ここでは根拠のある範囲に絞って考え方を整理します。

  • 症状を知る:更年期には心や体にさまざまな症状が出ることがあると知っておくと、気づかずに自分を責める流れを避けやすくなります。
  • 記録する:気分、睡眠、体の症状を日付とともにメモしておくと、波の傾向や生活との関係が見えやすくなります。
  • 負担の背景を見直す:就労環境、介護、家庭環境などが症状に影響しうるため、仕事量や家事の分担など、調整できる点がないか考えます。
  • 一人で抱え込まない:家族や周囲のサポートを得ながら乗り越えることが勧められています。
  • 生活に困るなら相談する:次の節の受診の目安を参考にします。

つらいときは誰に相談できる?受診の目安

受診の目安として、イライラや落ち込み、仕事や家事への支障、眠れない日が続くことを例示。相談先は婦人科、泌尿器科、かかりつけ医、保健センターなどで、更年期外来では総合評価、他科との連携、検査・治療を行うと示す。

受診の目安は「症状により生活に困難が生じる」ことです。
イライラや落ち込みで仕事や家事、人間関係に支障が出ている、眠れない日が続くといった場合が当てはまります。

相談先として、女性は婦人科、男性は泌尿器科が例示されています。千葉県のページでは、問い合わせ先としてかかりつけ医や最寄りの医療機関が示されています。

「病院に行くのはちょっと…」という場合は、お住まいの自治体の保健センターなどの相談窓口も選択肢です。岐阜市のページでは市内の保健センターが案内されています。ほかの地域では、自治体の健康づくり窓口を探してみてください。

更年期外来ではどんなことをするのか

国立成育医療研究センターの更年期外来では、症状を総合的に評価し、症状だけでなく生活環境やストレスも含めて全体を診るとされています。

心の症状の中には更年期以外の病気が隠れている可能性もあるため、必要に応じて内科や精神科と連携します。明らかな異常がない場合は更年期外来で検査・治療を進めます。

治療は、医学的評価に基づき、ホルモン補充療法、漢方療法、精神療法、生活指導などを組み合わせ、本人と相談しながら選ぶとされています。これは同センターの診療の説明であり、すべての医療機関が同じ内容とは限りません。

受診前に整えておくとよいこと

気分や睡眠の変化がいつからか、月経の状態、日常生活で困っていることをメモしておくと、診察で伝えやすくなります。
強い落ち込みが続く場合は、更年期かどうかにかかわらず早めに医療機関へ相談してください。

よくある疑問

男性にも心の変化はありますか?

男性にも更年期障害は起こり、30歳以降の男性ホルモン(テストステロン)の減少が関わるとされています。気分がすぐれない、うつ症状、不眠、集中力・記憶力の低下などが挙げられています。変化が緩やかで老化の一部と思われ、気づかれないことが多いとされています。

検査で異常がなければ気のせいですか?

そうとは限りません。更年期障害は他に疾患がなく、検査で異常が認められないことが大きなポイントとされています。検査に異常がなくても、症状が生活に支障を来すなら相談する価値があります。

まとめ

更年期のイライラや気分の落ち込みは、エストロゲンの低下による自律神経や精神神経の症状に、心理的・社会的な要因、睡眠の乱れが重なって起こると考えられています。

症状の出方には個人差が大きく、自分を責める必要はありません。

症状や睡眠の変化を記録し、周囲のサポートを得ながら、生活に困難が生じるときは婦人科やかかりつけ医、自治体の相談窓口に相談してください。

更年期以外の病気が隠れていることもあるため、気になる変化は専門家と一緒に確認することが安心につながります。

参考資料

目次