
公的機関の情報では、食事の見直しは複数の項目を組み合わせて考えるものとして示されています。
この記事では、初めて見直す方がつまずきやすい用語を先に説明し、確認の順序、卵や肉の考え方、魚や野菜の位置づけ、外食や食品表示での見方を整理します。
なお、すでに治療を受けている方や数値が高い方は、主治医や管理栄養士の指導が優先です。
- 適正体重を目安に食べすぎを避ける
- 肉の脂身・加工肉・バターなど飽和脂肪酸の多い食品を控えめにする
- 魚、野菜、海藻、大豆製品、未精製穀類を増やす
- 塩分と飲酒にも注意する
- 食品表示で脂質・飽和脂肪酸・トランス脂肪酸などを確認する。血中コレステロールが高い場合、食事からのコレステロールは1日200mg未満が推奨されています。

監修者
銀座アイグラッドクリニック 院長
乾 雅人(紹介ページ)
2010年、東京大学医学部卒業。同大学附属病院で初期臨床研修、外科専門研修を修了。同大学大学院では外科学(呼吸器外科)を専攻し、肺移植領域の研究に従事。2020年、銀座アイグラッドクリニックを開業。臨床行為に従事する傍ら、医療コンサルティング会社も経営。総合病院や製薬会社、保険会社、会計事務所などの業務を補佐し、医療の社会問題化と向き合っている。NMNの上位互換である5デアザフラビン(TND1128)臨床研究の第一人者でもあり、眠れる知財の普及に尽力している。
まず知っておきたい言葉:コレステロールと脂質異常症

コレステロールは、細胞膜や胆汁酸の材料になる脂質で、体に不可欠な物質です。ただし体内で合成できるため、必須栄養素ではありません。
血液中のLDLコレステロール(いわゆる悪玉)やトリグリセライド(中性脂肪)が基準値より高い、またはHDLコレステロール(いわゆる善玉)が低い状態を脂質異常症といいます。
この状態が続くと動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳卒中の可能性が高まるとされています。
診断基準の一例として、LDLコレステロール140mg/dL以上は高LDLコレステロール血症、HDLコレステロール40mg/dL未満は低HDLコレステロール血症とされています。
自分の検査結果がどの区分かは、結果票と医師の説明で確認してください。
見直しの順序:何から確認すればよいか

公的資料が示す食事の柱は、過食を避けて適正体重を保つこと、動物性脂肪の多い食品を控えること、魚・野菜・海藻・大豆製品・未精製穀類を増やすこと、果物は適度に、飲酒と塩分は控えめにすることです。
迷ったら、次の順に点検すると進めやすくなります。
- 食べる量:体重を量り、食べすぎていないかを見る
- 脂の種類:肉の脂身、加工肉、バター、菓子類が多くないかを見る
- 増やすもの:魚、野菜、海藻、大豆製品、玄米などを足せるかを見る
- 塩分と飲酒:汁物、漬物、加工品、お酒の量を見る
- 食品表示:買う食品や外食の成分を確認する習慣をつける
「減らす」だけでなく「足す」視点を持つと続けやすくなります。
食事療法は無理なく長く続けることが大切で、制約だらけと考えず、知識を得て食材や味付けを工夫して楽しむ姿勢が役立つとされています。
ステップ1:食べる量と体重を確認する

ガイドラインに基づく食事では、過食に注意して適正な体重を維持します。
目標体重の目安は「身長(m)×身長(m)×BMI」で、BMIの範囲は18〜49歳で18.5〜24.9、50〜64歳で20.0〜24.9、65歳以上で21.5〜24.9です。
定期的に体重計に乗ることも勧められています。まずは週に数回でも体重を記録し、食事量の調整が必要かを見る材料にしましょう。
ステップ2:卵や肉は控えるべき?コレステロールと飽和脂肪酸
食事のコレステロールと血中の値は単純には結びつかない
コレステロールは肝臓などで合成され、食事由来の量は体内で作られる量の約3分の1から7分の1程度とされています。
このため「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、健康な人にコレステロールの摂取上限(目標量)は設定されていません。食事からの摂取量と血中値の関係に個人差が大きいことも理由です。
一方、血中コレステロール値が高い場合(特に高LDLコレステロール血症)は、重症化予防のため1日200mg未満にとどめることが望ましいとされています。
まず目を向けたいのは飽和脂肪酸
肉の脂身やバターなどに多い飽和脂肪酸は、肝臓が血液中のLDLコレステロールを回収する力を弱め、結果として血中LDLコレステロール値を上げるとされています。
ガイドラインに基づく食事では、肉の脂身、動物脂、加工肉、鶏卵の大量摂取を控えます。
肉を食べるときは脂身の少ない赤身肉を選び、クリーム、バター、ラード、ココナッツオイル、ショートニングなどが多い菓子類の食べすぎにも注意します。
コレステロールの多い食品の例

食品ごとの目安量あたりのコレステロールは次のとおりです。卵や内臓類、いか類などが目立ちますが、1回の量で見ることがポイントです。
| 食品 | 目安量 | コレステロール |
|---|---|---|
| 鶏卵・全卵(1個) | 50g | 210mg |
| 鶏・レバー(1個) | 40g | 148mg |
| 豚・バラ肉 | 100g | 70mg |
| するめいか(1/3尾) | 80g | 200mg |
| バター(大さじ1杯) | 13g | 27mg |
いか、たこ、えび、貝類はコレステロールを多く含む一方、タウリンやイコサペンタエン酸なども含むため、適量であれば食べてもよいとされています。
ステップ3:魚・野菜・食物繊維など「増やす」食品

青魚や脂の多い魚に含まれるEPA・DHA(n-3系多価不飽和脂肪酸)は、高トリグリセライド血症の改善や冠動脈疾患の発症抑制が期待できるとされ、魚を積極的に食べることが勧められています。
低脂肪の乳製品を選ぶことも、飽和脂肪酸を摂りすぎない工夫です。
野菜、海藻、大豆・大豆製品からの食物繊維は血中脂質の改善に役立つとされ、野菜は1日350g以上が目安です。
玄米や五分づき米などの未精製穀類も推奨されています。漬物を食べるときは食塩が増えない点に注意します。
きのこ、海藻、こんにゃくはエネルギーが非常に低く食物繊維が多いので、肉料理の付け合わせや副菜に向きます。
ナッツ類は海外の研究で心血管疾患の発症リスク低下が報告されていますが、エネルギーが過剰になりやすいため、1日に小皿1杯が目安です。
果物は1日200g程度(りんごなら1個、バナナなら2本、ミカンなら2個ぐらい)を目安に、ジュースや缶詰より生の果物を選びます。

糖尿病などがある方は、果物の量や食べ方を医師や管理栄養士に相談してください。
ステップ4:塩分・飲酒・調理法も一緒に見る
調理では、すき焼きよりしゃぶしゃぶ、鉄板焼きより網焼きのように脂肪を落とす方法が、脂肪の摂取を減らすのに役立つとされています。
食事に加えて、中等度以上の有酸素運動を毎日合計30分以上、禁煙と受動喫煙の回避も、生活習慣改善の項目として示されています。
外食・コンビニで気をつける点


外食でも、組み合わせや量に配慮すれば食事療法は続けられます。
単品より、主食・主菜・副菜がそろった定食などを選び、エネルギーの高い料理は思い切って残す方法が紹介されています。メニューごとのエネルギーや食塩量を調べておき、守るルールを決めておくと迷いません。
加工食品は食塩やエネルギーが多いものがあります。野菜を加えて1人前を2回に分けて使うなど、1回の量を減らす工夫もあります。
冷凍食品や加工食品で副菜を1品増やす使い方も、調理の手間を減らす方法として挙げられています。
食塩の目安として、外食1人分ではかけそば4.6g、しょうゆラーメン5.8g、カツ丼4.2gなどが示されています(お店や地域で異なる目安値)。
汁物は具の多いものにし、麺類は汁を残すと食塩を抑えられます。
食品表示の見方:脂質・飽和脂肪酸・トランス脂肪酸


マーガリンやショートニングの中には、動脈硬化性疾患の発症に関与するとされるトランス脂肪酸が多いものがあります。
栄養成分表示にトランス脂肪酸量の記載があれば確認しましょう。トランス脂肪酸は、摂取量を総エネルギーの1%相当より少なくし、さらにできるだけ少なくすることが望ましいとされています。
飽和脂肪酸は、成人の食事摂取基準で総エネルギーに占める割合の目標量が7%以下とされています(成人の一部区分)。
表示に飽和脂肪酸の記載があれば、バターや肉の脂身、パーム油などの植物油脂を使った食品で多くなりやすい点を意識しましょう。ただし、表示がない商品も多く、1食の量との合計で見ることが大切です。
食塩は、ナトリウム表示の場合「ナトリウム(mg)×2.54÷1000=食塩相当量(g)」で換算できます。ナトリウム250mgなら約0.6gです。
今日からの見直しの具体例
以下は資料の項目をもとにした仮の組み立て例です。個別の食事指導ではありません。
- 朝:主食を玄米や五分づき米に変える、または野菜や海藻の副菜を1品足す
- 昼(外食):丼や麺の単品より、魚の定食など主食・主菜・副菜がそろうものを選び、汁は残す
- おやつ:クリームやバターの多い菓子を回数・量とも控え、生の果物を適量にする
- 夜:肉は赤身を選び、網焼きや蒸しなど脂を落とす調理にする。魚を週の中で増やす
- 毎日:体重を量り、食品表示の脂質・食塩相当量をひとつ確認する
一度に全部を変える必要はありません。「魚を足す」「汁を残す」など、続けられる1〜2項目から始めて、次の健診で結果を確認し、必要なら医師と相談する流れが現実的です。
まとめ
コレステロールが気になるときは、食べる量、飽和脂肪酸の多い食品、魚・野菜・食物繊維、塩分と飲酒、食品表示の順に確認すると整理しやすくなります。
卵や肉は「ゼロにする」より、血中値の状況に応じて量と種類を調整する考え方が基本です。
健診で異常を指摘された場合は専門医を受診して原因を確認し、食事・運動・禁煙などの生活習慣改善を無理のない範囲で続けていきましょう。








