
エクオールとは、大豆に含まれる大豆イソフラボンの一種「ダイゼイン」が、腸内の特定の細菌によって変換されてできる成分です。
大豆そのものにはほとんど含まれておらず、大豆イソフラボンを食べたあとに腸の中で作られます。
ただし、この変換ができる人とできない人がいます。同じように大豆を食べても、エクオールを作る腸内細菌を持っているかどうかで結果が変わります。
この記事では、用語の意味から順に、初めての方がつまずきやすい点を整理します。
エクオールは大豆イソフラボンのダイゼインが腸内細菌で変換された成分で、大豆自体にはほぼ含まれません。
作れる人は日本人で約半数といわれ、個人差があります。健康への効果は研究段階の話も多く、大豆食品をバランスよく食べることが基本です。
サプリメントを使う場合は、大豆アレルギーや摂取量に注意し、心配なときは医師などに相談してください。

監修者
銀座アイグラッドクリニック 院長
乾 雅人(紹介ページ)
2010年、東京大学医学部卒業。同大学附属病院で初期臨床研修、外科専門研修を修了。同大学大学院では外科学(呼吸器外科)を専攻し、肺移植領域の研究に従事。2020年、銀座アイグラッドクリニックを開業。臨床行為に従事する傍ら、医療コンサルティング会社も経営。総合病院や製薬会社、保険会社、会計事務所などの業務を補佐し、医療の社会問題化と向き合っている。NMNの上位互換である5デアザフラビン(TND1128)臨床研究の第一人者でもあり、眠れる知財の普及に尽力している。
エクオールとは?まず定義を押さえる

エクオールは、ポリフェノールと呼ばれる化合物の一種です。
大豆イソフラボンのうち「ダイゼイン」が腸内細菌によって代謝されると、エクオールに変化して体内に吸収されます。
名前の由来も知っておくと覚えやすくなります。エクオールは妊娠した馬の尿から発見され、馬を意味する equine から equol と名付けられました。
大豆イソフラボンとは?エクオールの「材料」を理解する

大豆イソフラボンは、主に大豆の胚芽に多く含まれるフラボノイドの一種です。
ゲニステイン、ダイゼイン、グリシテインの3種類(アグリコン)と、それぞれの配糖体が知られています。
食品安全委員会のQ&Aによると、大豆イソフラボンはその化学構造が女性ホルモン(エストロゲン)に似ているため植物エストロゲンのひとつといわれ、エストロゲン受容体に結合して働くとされます。
一方で、ヒトの体に必須の栄養素とはされていません。

エクオールと大豆イソフラボンの違い

二つの違いを、初心者が混同しやすい点に絞って表にまとめます。
エクオールに関する記述は大塚製薬の公式ページの説明、大豆イソフラボンの記述は食品安全委員会の説明に基づきます。
| 比較項目 | 大豆イソフラボン | エクオール |
|---|---|---|
| どこにあるか | 大豆を原料とする食品のほとんどに含まれる | 大豆そのものには含まれず、腸内細菌が大豆イソフラボンから作る |
| 位置づけ | ゲニステイン、ダイゼイン、グリシテインなどの総称 | ダイゼインの代謝物(ポリフェノールの一種) |
| 誰が得られるか | 大豆食品を食べれば摂取できる | 作る腸内細菌を持つ人だけが腸内で産生できる |
また、エクオールは大豆イソフラボンの「1種」と説明されることがありますが、大塚製薬のFAQでは、エクオール自体は大豆に含まれず、大豆イソフラボンから腸内細菌によって変換されて作られる成分と整理されています。
「大豆イソフラボンの代謝物」と覚えると混乱しにくくなります。
エクオールはどのように働くと説明されているか
ここで誤解しやすいのは、女性ホルモンそのものではない点です。
更年期症状や骨の健康などへの働きは、メーカーのページで研究報告として紹介されていますが、これは製品を扱う企業側の説明です。
一方、食品安全委員会のQ&Aでは、米国医療研究・品質調査機構(AHRQ)が2005年に、大豆たん白質や大豆から抽出されたイソフラボン類の内分泌機能、月経周期、骨への効果は裏付けがないとしていると紹介されています。
効果は「確実」と受け取らず、慎重に見るのが適切です。
エクオールを作れる人と作れない人がいるのはなぜ?

この菌を持っていなければ、大豆イソフラボンを摂ってもエクオールは作られず、ダイゼインはそのまま体内に吸収されます。
作れる人の割合は、日本人で約50%といわれ、中国や韓国も同程度、ヨーロッパやアメリカでは約30%とされています。NITEの解説でも、日本人で約5割、欧米人で約3割という報告が紹介されています。
なぜ差が出るのかは、詳しくは分かっていません。若い世代で作れない人が増えていることから食生活の変化が原因ではないかと考えられ、幼少期の食生活の影響が大きいという説もあります。
どうすれば作れるようになるかも分かっていません。腸内環境はストレスや睡眠、運動量などの生活習慣の影響を受けるといわれ、産生菌がいるのにうまく働いていない場合は、腸内環境を整えることで作れる可能性がある、と説明されています。
作れる人でも毎日同じ量とは限らない
大塚製薬が紹介する試験では、エクオールを作れる人25例が7日間同じメニューを食べて尿中エクオール排泄量を調べたところ、一部の参加者に大きな日間変動があり、1例は4日目以降エクオールの産生が認められませんでした。
腸内環境の変化で産生量が変わる可能性があるとされています。これは特定の試験の結果で、全員に当てはまるとは限りません。
また、エクオールを作れる日本人524名の通常の食生活での調査では、約80%で産生量が10mg未満だったと紹介されています。「作れる」ことと「十分な量が作られている」ことは別の話だと分かります。
自分が作れるかどうかを知る方法
エクオールが作れるかどうかは、尿検査で調べます。
大塚製薬のFAQでは、自宅で採った尿を郵送する検査キットが株式会社ヘルスケアシステムズから販売されていると紹介されています。検査を受けるかどうかは、必要性を含めて自分で判断してください。
おすすめのエクオール検査キット
エクオールは食品に含まれている?目安量は?
ただし10mgを摂るには市販の鶏卵で1000〜4000個が必要と説明されており、食品から補う方法としては現実的ではありません。
大豆食品とサプリメントを選ぶときの注意

大豆イソフラボンについては、食品安全委員会が、特定保健用食品としての安全な一日上乗せ摂取量の上限値を30mg(大豆イソフラボンアグリコン換算)としています。
これは日常の食事に上乗せする場合の考え方で、特定保健用食品以外の健康食品は評価されていませんが、この考え方を参考に過剰摂取を避けるよう案内されています。
妊婦、胎児、乳幼児、小児については、食品安全委員会が大豆イソフラボンを日常の食生活に上乗せして摂取することは推奨できないとしています。
持病がある方や、サプリメントの利用を考える方は、目的や種類・量をかかりつけの医師などに相談すると安心です。
よくある疑問
まとめ
エクオールは、大豆イソフラボンのダイゼインが腸内細菌によって変換されてできる成分で、大豆食品に直接含まれるものではありません。
作れるかどうかは腸内細菌によって決まり、日本人では約半数とされ、作れる人でも日によって量が変わることがあります。
健康への働きについては、メーカーの紹介と公的機関の評価に温度差があり、効果を断定できる段階とは言えません。
まずは大豆食品を毎日の食事に無理なく取り入れ、サプリメントを検討する場合は表示や注意事項、アレルギーの有無を確認し、必要に応じて医師に相談してください。
