
食品安全委員会も、日常の食生活では大豆イソフラボンの含有量ではなく、各栄養素のバランスに配慮するよう示しています。
この記事では、初めての方がつまずきやすい「そもそも大豆イソフラボンとは何か」「どの食品にどれくらい入っているのか」「朝食や調味料でも取り入れられるのか」を順に説明します。
あわせて、妊娠中の方やサプリメントを使う場合の注意点も確認します。
大豆イソフラボンは大豆食品に広く含まれます。特定の成分を狙うより、豆腐・納豆・味噌などを主菜や汁物として無理なく続けるのが基本です。
サプリメントや強化食品で上乗せする場合は、上限の目安を意識する必要があります。

監修者
銀座アイグラッドクリニック 院長
乾 雅人(紹介ページ)
2010年、東京大学医学部卒業。同大学附属病院で初期臨床研修、外科専門研修を修了。同大学大学院では外科学(呼吸器外科)を専攻し、肺移植領域の研究に従事。2020年、銀座アイグラッドクリニックを開業。臨床行為に従事する傍ら、医療コンサルティング会社も経営。総合病院や製薬会社、保険会社、会計事務所などの業務を補佐し、医療の社会問題化と向き合っている。NMNの上位互換である5デアザフラビン(TND1128)臨床研究の第一人者でもあり、眠れる知財の普及に尽力している。
大豆イソフラボンとは?まず押さえたい基本

食品中では、多くが糖の結合した「配糖体」として存在します。食べると腸内細菌の働きで糖が外れ、「アグリコン」という形になって腸から吸収されます。公的資料の量の目安は、このアグリコンに換算した値で示されています。
なお、大豆イソフラボンはたんぱく質やミネラルと違い、ヒトの体に必須の栄養素とはされていません。
ですから「不足しないように必ず摂る」成分ではなく、大豆食品を食べる中でついてくるものと考えると気楽です。
どの食品にどれくらい含まれる?食品別の目安

食品安全委員会が示す分析値(アグリコンとして100g当たり、検体数は少数)の一部を表にしました。同じ食品でも製品によって幅がある点に注意してください。
| 食品名(検体数) | 含有量 | 平均含有量 |
|---|---|---|
| 大豆(11検体) | 88.3~207.7mg | 140.4mg |
| 豆腐(4検体) | 17.1~24.3mg | 20.3mg |
| 納豆(2検体) | 65.6~81.3mg | 73.5mg |
| 豆乳(3検体) | 7.6~59.4mg | 24.8mg |
| 油揚げ類(3検体) | 28.8~53.4mg | 39.2mg |
| 味噌(8検体) | 12.8~81.4mg | 49.7mg |
100g当たりの数値は、食べる量が違えば実際の摂取量も変わります。
豆腐・納豆・味噌・豆乳の取り入れ方

大豆食品は種類が多く、好みや生活に合わせて選べます。
国内の伝統的な大豆食品には、豆腐、油揚げ、厚揚げ、がんもどき、凍り豆腐、ゆば、納豆、きな粉、おから、煮豆、味噌、醤油があり、近年は豆乳類も加わっています。
豆腐・油揚げなど豆腐の仲間
豆腐は、もめん・きぬごし・充填など種類があります。
国民生活センターの調査をもとにした試算では、アグリコン換算の平均はもめん豆腐23、きぬごし豆腐21、充てん豆腐21(いずれもmg/100g)で、種類による大きな差はありません。
納豆・煮豆
納豆は蒸煮大豆に納豆菌を植え付けて熟成させたものです。味噌や納豆などの大豆発酵食品にはアグリコンが多く含まれるとされます。苦手な方は、無理に納豆にこだわらなくても大丈夫です。
国立長寿医療研究センターも、納豆が苦手でも味噌汁や豆腐、ぜんざいなどで豆を食べる機会を持てると紹介しています。
煮豆は大豆を煮込んだもので、海藻や野菜と一緒に煮たものはお総菜として食べられています。小鉢1つ(70g)で1食の中ではイソフラボン量の多い部類になります。
味噌・醤油などの調味料
味噌と醤油も大豆から作る大豆食品です。味噌は蒸した大豆に麹と塩を混ぜて発酵・熟成させたペースト状の調味料で、醤油は蒸し大豆と小麦などの麹に食塩水を加えて発酵させた液体です。
朝食・昼食・夕食に組み込む考え方
- 味噌汁を一品加える(味噌が大豆食品であり、汁物として毎日取り入れやすい)
- 豆腐や納豆を主菜や副菜に添える
- おやつや甘味にきな粉やぜんざいを選ぶ
- 苦手な食品があれば、別の大豆食品に置き換える
食事全体の中での位置づけも確認しておきましょう。「食事バランスガイド」では、大豆や大豆製品を使った料理は肉・魚・卵の料理とともに「主菜」とされ、合わせて1日に3皿程度が目安です。
大豆食品を主菜の一部として、肉や魚と入れ替えながら使うと、バランスを保ちやすくなります。
国立長寿医療研究センターの調査(地域在住の60歳以上が対象)では、女性で豆類や総イソフラボンの摂取が多いと10年後の認知機能低下リスクが低く、男性では豆類の摂取量との関連はありませんでした。
これは観察研究の結果で、特定の食品が予防を保証するという意味ではありません。
どれくらいまでなら?上限の目安と考え方
ただしこれは、毎日欠かさず長期間摂取する場合の平均値としての上限で、大豆食品からの摂取がこれを超えたからといって、直ちに健康被害に結びつくものではないと強調されています。
食品の摂取量にそのまま置き換えて計算することは、食品ごとのばらつきが大きいため難しいとされています。数字にとらわれすぎず、主菜・副菜・汁物の中で複数の食品に分散させるくらいの感覚が現実的です。
また、大豆食品を控える必要もありません。豆腐、納豆、煮豆、味噌などの伝統的な大豆食品は、日常の食生活で食べることによる大豆イソフラボンの有害な影響は現時点では確認されていません。
大豆食品は良質なたんぱく質やカルシウムなどの栄養源で、心配して食べるのをやめると、かえって栄養面で損をする可能性があります。
サプリメントや妊娠中の方が気をつけたいこと

食品としての大豆食品と、サプリメントなどで上乗せする場合は分けて考えます。
サプリメントを利用している方で不安があれば、目的・種類・摂取量をかかりつけの医師など専門家に伝えて相談するよう勧められています。
妊婦(妊娠の可能性のある方を含む)と胎児については、十分な試験データがあるとは言えず、将来の健康影響を判断できないため、日常の食生活にさらに上乗せして摂ることは推奨できないとされています。
乳幼児や小児も、特定保健用食品などとして日常の食事に上乗せして摂ることは推奨されていません。これは普通の大豆食品を食べることを避ける意味ではなく、サプリメントや強化食品での上乗せについての話です。
ソイプロテインなどの形では、通常の食品より多く大豆イソフラボンを摂ってしまうことがあるため注意が必要です。
たんぱく質を摂るには、大豆や大豆食品、魚や肉などを普通の食品の形でバランスよく食べるよう案内されています。
続けやすくするための確認ステップ

- 今の食事で大豆食品がどのくらい入っているか、1週間ほど思い出してみる
- 味噌汁、豆腐、納豆、煮豆、豆乳の中から、続けられそうなものを1〜2つ選ぶ
- 主菜として使う日には、肉や魚と入れ替えて全体の量が増えすぎないようにする
- 同じ食品に偏らず、日によって種類を変える
- サプリメントや強化食品を使っている場合は、1日の合計量と対象(妊娠中かどうか)を確認する
食品の組み合わせに迷うときは、食品安全委員会が紹介する食事バランスガイドのように、ひとつの食品や成分に偏らないという原則に立ち返ると判断しやすくなります。
まとめ
大豆イソフラボンを食事に取り入れるには、豆腐・納豆・煮豆・味噌汁などの大豆食品を、主菜や汁物として無理なく続けることが基本です。
食品によって含有量は大きく異なり、醤油のようにごくわずかなものもあります。数字を細かく計算するより、複数の食品に分散させ、他の食品とバランスよく食べることを優先してください。
サプリメントなどで上乗せする場合や妊娠中の方は、上限の目安と注意点を確認したうえで、不安があれば医師など専門家に相談しましょう。
