
日焼け止めは、見る角度によって「種類」の意味が変わります。ひとつは紫外線を防ぐ成分の違い、もうひとつはSPFやPAといった防止効果の目安、そしてジェル、ミルク、クリーム、スプレーといった使い心地を左右する形(剤型)です。
初めて選ぶときは、この3つを分けて考えると迷いにくくなります。
この記事では、まず成分とSPF・PAの基本を整理し、そのうえでタイプごとの特徴と使い分けを説明します。最後に、塗り方、落とし方、スプレー缶を使うときの安全面の注意をまとめます。
- 紫外線を防ぐ成分は「散乱剤」と「吸収剤」の2系統で、製品によりどちらか一方または両方が入っています。
- SPFはUVB、PAはUVAを防ぐ目安で、日常は低めでも足り、炎天下のレジャーでは高い数値が向きます。
- 剤型は、さらさら感・保湿感・塗り直しやすさなど、使い心地で選びます。
- どのタイプでも、適量を塗ることと2〜3時間おきの塗り直しが大切です。

監修者
銀座アイグラッドクリニック 院長
乾 雅人(紹介ページ)
2010年、東京大学医学部卒業。同大学附属病院で初期臨床研修、外科専門研修を修了。同大学大学院では外科学(呼吸器外科)を専攻し、肺移植領域の研究に従事。2020年、銀座アイグラッドクリニックを開業。臨床行為に従事する傍ら、医療コンサルティング会社も経営。総合病院や製薬会社、保険会社、会計事務所などの業務を補佐し、医療の社会問題化と向き合っている。NMNの上位互換である5デアザフラビン(TND1128)臨床研究の第一人者でもあり、眠れる知財の普及に尽力している。
日焼け止めの「種類」は3つの軸で考える

店頭には多くの商品が並びますが、違いは大きく3つに整理できます。
1つ目は紫外線を防ぐ成分(紫外線散乱剤・紫外線吸収剤)、2つ目は防止効果の目安(SPF・PA)、3つ目は剤型(ジェル、ミルク、クリーム、スプレーなど)です。
成分と数値は「どれくらい、どのように守るか」、剤型は「どう塗るか、どんな感触か」にかかわると考えると、整理しやすくなります。
日焼け止めの剤型について、資生堂の美容情報では、ジェルタイプ、クリームタイプ、ミルクタイプなどさまざまなタイプがあるとされています。また、肌状態に合わせて自分が使いやすいものを選ぶ考え方が示されています。
成分の違い:紫外線散乱剤と紫外線吸収剤

東京都健康安全研究センターは、散乱剤は紫外線を反射して日焼けを防ぎ、吸収剤は紫外線を肌の表面で吸収すると説明しています。
しくみと代表的な成分
代表的な散乱剤は酸化チタンと酸化亜鉛です。
吸収剤にはケイヒ酸誘導体(メトキシケイヒ酸オクチルなど)、パラアミノ安息香酸誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体(t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンなど)があります。
どちらが入っているかの見分け方
化粧品の成分は、外箱や製品本体、タグ、店頭のディスプレイカードなどに記載されています。上に挙げた成分名が載っているかを見れば、おおまかなタイプが分かります。
花王の日やけ止め製品では、吸収剤にメトキシケイヒ酸エチルヘキシル、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンなどが、散乱剤に酸化チタン、酸化亜鉛などが主に使われています。これは同社製品での例であり、他社製品を含む全体に当てはまるとは限りません。
また花王によると、子ども用や皮膚の敏感な方用の日焼け止めは散乱剤のみを含むものが多く、「紫外線吸収剤無配合」「紫外線吸収剤フリー」「ノンケミカルサンスクリーン」などと表示されています。パッケージのこうした表示も手がかりになります。
SPFとPAの見方:数値は使う場面で選ぶ

SPFは2から50までの数値で表され、表示の上限は「50+」です。
PAは「+」の数で表され、PA+は「UVA防止効果がある」、PA++++は「極めて高い」という位置づけです。
場面別の目安
資生堂の情報では、屋外スポーツやレジャーはSPF50+・PA++++、普段の通勤などはSPF30程度が目安とされています。
なお、SPFとPAは製品ごとの値で、化粧水・下地・ファンデーションに表示があっても足し算にはなりません。
ただし、重ねて使うほうが単品より紫外線防止効果は高まるとされています。
剤型の違い:ジェル・ミルク・クリーム・スプレー

ここからが、検索されることの多い剤型の話です。
資生堂の情報では、肌の悩みや使い方に合わせて次のように選ぶ考え方が示されています。剤型ごとの物性の違いを細かく比較した資料は取得できていないため、ここでは使う目的別の選び方に絞って整理します。
| 気になること・目的 | 向くとされるタイプ |
|---|---|
| ベタつきが気になる | サラサラ感のあるタイプ |
| 乾燥が気になる | うるおい感のある保湿力の高いタイプ |
| ボディに塗る | ボディ用で、みずみずしくなめらかにのびて塗りやすいもの |
| 手を汚さずに塗り直したい | スプレータイプ |
| 肌色を明るく見せたい | UVカット・化粧下地・ファンデーションが一つになったBBタイプやオールインワンタイプ |
| 肌がデリケート | アルコール・パラベン・鉱物油・香料・着色料を配合していない低刺激設計の敏感肌用 |
ジェル、ミルク、クリームといった名称は、あくまで製品の形状による呼び分けです。
たとえば「ベタつきが気になるからジェル」のように剤型名だけで決めるより、「さらさらタイプ」「保湿力の高いタイプ」といった製品の特徴表示を確認するほうが、実際の使い心地に合いやすくなります。
スプレータイプの位置づけ
スプレータイプは、手を汚さずに塗り直したいときに簡単で、外出時にも便利とされています。日差しが思いのほか強く感じられたときのために、バッグに入れておくと安心という使い方も紹介されています。
顔用と体用が分かれているのはなぜか
ボディ用については、みずみずしくなめらかにのびて塗りやすいものがおすすめとされています。
顔用と体用がなぜ分かれているのかを直接説明する資料は取得できていませんが、花王は「顔・からだに使う日焼け止め」の種類と選び方として製品を整理しており、使う部位を意識して選ぶ考え方が確認できます。
購入前に、パッケージの用途表示(顔用、からだ用、顔・からだ兼用など)を確認してください。
海やスポーツなど、汗や水に触れる場面のタイプ

その分、落とし方には注意が必要です。ウォータープルーフタイプは石けんやボディーシャンプーでは完全に落とせないため、通常は専用のクレンジングを使います。専用の指定がなければ普通のクレンジングでも構いません。
一方、花王の製品Q&Aでは、使用後はふだん使う石けんや洗顔料・全身洗浄料で丁寧に洗って落とすよう案内されている製品もあります。
落とし方は製品ごとに異なるため、パッケージの表示を必ず確認しましょう。
スプレータイプを使うときの注意点

スプレー缶(エアゾール製品)は、噴射剤に可燃性の高圧ガスを使っていることが多く、使い方を誤ると爆発・火災事故につながるおそれがあると消費者庁は注意しています。日やけ止めも対象の例として挙げられています。
消費者庁には、使用時に吸い込んで呼吸が苦しくなった事故や、子どもが誤って目や口に噴霧してしまった事故なども寄せられています。
顔に使う場合の方法は製品の表示に従ってください。
どのタイプでも大切な塗り方と塗り直し
SPFとPAは、1平方センチメートルあたり2mgを塗ったときの値です。この量を塗ると肌が白っぽくなるため、実際にはもっと薄く塗ってしまうのが普通です。
つまり、数値の高い製品を選んでも、量が少なければ表示どおりの効果は期待しにくくなります。
また、塗った後に汗をかいたりタオルで拭いたりすると、紫外線を防ぐ成分が肌の上でバラバラになり、効果が減ってしまいます。
顔に塗る手順の例

資生堂の美容情報では、顔全体に均一にのばすことがポイントとされています。手順は次のとおりです。
- 適量を手のひらに出し、利き手の人さし指・中指・薬指の指先に取る
- 両手の指先を合わせて広げてから、顔につける
- ほお、額、鼻、あごの順に、顔の中心から外側へ丁寧になじませる
- 塗り終えたら指先で触って確認する。髪の生えぎわ、眉間、耳、小鼻のわき、フェイスラインは塗り残しやすい
ペタペタしたりベタつきを感じるようなら付けすぎのサインで、ティッシュで軽く押さえて指でなじませます。
ただし、ベタつくからと少なめに塗ると、期待どおりのUVカット効果が得られず、摩擦で肌に負担がかかることもあります。商品ごとに適量が異なるため、使用前に確認しましょう。
初めて選ぶ人のための選び方の順番

資生堂の情報では、ポイントは肌状態に合っていることで、そのうえで利用シーンと使いやすさを合わせて選ぶとよいとされています。
この考え方に沿って、次の順番で絞り込むと迷いにくくなります。
- 肌の状態を確認する(ベタつき、乾燥、敏感など)
- 使う場面を決める(日常、屋外スポーツ、海など)
- 場面に合うSPF・PAを選ぶ
- 使いやすい剤型を選ぶ(塗り直しが多いならスプレーなど)
- 成分表示で散乱剤・吸収剤を確認する
- 落とし方を確認する
肌に合うかが心配な場合は、パッチテストで確かめる方法があります。顔ではなく、塗りやすく炎症が起きても目立ちにくい腕の内側などに塗り、2日後に赤みやかゆみが出ていないか確認します。
日焼け止めは、紫外線を完全に避けられない場面を補うものです。
東京都健康安全研究センターも、日焼けを避けるには日に当たらないのが一番としています。帽子や日傘、UVカット素材の衣類も併用すると、より紫外線ダメージを抑えやすくなります。
よくある疑問
まとめ
日焼け止めの種類は、成分(散乱剤・吸収剤)、数値(SPF・PA)、剤型(ジェル、ミルク、クリーム、スプレーなど)の3軸で整理できます。
日常使いなら低めのSPFで肌に合う感触のものを、炎天下のレジャーなら高いSPF・PAで耐水性のあるものを選び、適量をムラなく塗って塗り直すことが基本です。
スプレータイプは便利ですが、換気や火気、保管温度に注意してください。
個別の製品の詳細は、製造販売メーカーの表示や問い合わせ窓口で確認するようにしましょう。
参考資料
- 東京都健康安全研究センター » 上手に選ぼう 日焼け止め化粧品
- 基本テクニック スキンケア 2023年 春夏|資生堂リスナーズカフェ 視覚に障がいのある方の美容情報|資生堂ライフクオリティー ビューティーセミナー|資生堂
- 花王 | 製品Q&A | 【成分・働き】紫外線散乱剤と紫外線吸収剤の違いは?どうやって見分けることができるの?
- 紫外線防止剤にはどんなタイプがあるの?|紫外線|乾燥性敏感肌のための生活情報 お肌ナビ|花王株式会社
- 花王 | 製品Q&A | 【選び方】顔・からだに使う日焼け止めの種類と選び方
- 8月に多いスプレー缶によるやけどや皮膚障害に注意! -使用時に吸い込んで呼吸困難になる事故や、廃棄処理時に引火する事故が発生- | 消費者庁
