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コレステロールとは?体内での役割と「善玉・悪玉」と呼ばれる理由をやさしく解説

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微笑んで指を立てる女性と、黄色い丸いキャラクター、天使の輪をつけた青い善玉、角のある赤い悪玉が血管の上に並ぶ解説用イラスト。「コレステロールとは?」「体内での役割」の文字入り。

コレステロールは、細胞膜や胆汁酸、ホルモンの材料になる脂質のひとつで、体にとって欠かせない物質です。

「悪者」というイメージを持たれがちですが、問題になるのは「多すぎる」「バランスが崩れる」場合です。

この記事では、コレステロールとは何か、体内でどのように使われるのか、「善玉」「悪玉」と呼ばれる理由は何か、中性脂肪とはどう違うのかを、初心者の方向けに順を追って説明します。

この記事の要点

コレステロールは細胞膜・胆汁酸・ホルモンの材料となる脂質です。

善玉・悪玉は「種類の違い」ではなく、血液中で運ぶ向きが違う粒子(HDLとLDL)に含まれるコレステロールの呼び名です。

血液検査の値が基準から外れた状態は脂質異常症と呼ばれ、自覚症状がないまま動脈硬化と関係します。

【監修】乾 雅人 銀座アイグラッドクリニック 院長

監修者

銀座アイグラッドクリニック 院長
乾 雅人
(紹介ページ)

2010年、東京大学医学部卒業。同大学附属病院で初期臨床研修、外科専門研修を修了。同大学大学院では外科学(呼吸器外科)を専攻し、肺移植領域の研究に従事。2020年、銀座アイグラッドクリニックを開業。臨床行為に従事する傍ら、医療コンサルティング会社も経営。総合病院や製薬会社、保険会社、会計事務所などの業務を補佐し、医療の社会問題化と向き合っている。NMNの上位互換である5デアザフラビン(TND1128)臨床研究の第一人者でもあり、眠れる知財の普及に尽力している。

目次

コレステロールとは?基本の定義

コレステロールが脂質の一種であることを、体内での働き、体内合成と食事、遊離型とエステル型、食品成分表での測定手順の5項目にイラストを添えて説明した図。

コレステロールは脂質の一種です。脂質とは、いわゆる「脂(あぶら)」の仲間で、体に少量ずつ必要な栄養素のグループを指します。

コレステロールは、細胞の膜や、脂肪の消化を助ける胆汁酸の材料になります。

また、コレステロールは体内でも合成できるため、食事から必ず摂らなければならない必須栄養素ではありません。ただし「不要」という意味ではなく、体の中では重要な働きをしています。

食品や体内では、コレステロールは「遊離型」と、脂肪酸と結合した「エステル型」の形で存在します。

食品成分表では、コレステロールはけん化後に不けん化物を抽出し、ガスクロマトグラフ法で測定する方法が用いられています。

体内でのコレステロールの役割

左に細胞膜、胆汁酸、ホルモン、脳神経や筋肉への役割、中央に「少なすぎても多すぎても」の天秤と「適量であることが大切」、右に極端に低い場合の貧血と脳出血を示した図。

コレステロールの主な役割は次のとおりです。

  • 細胞膜の構成成分になる
  • 胆汁酸(脂肪の消化吸収を助ける物質)の材料になる
  • 各種ホルモンの前駆物質(もとになる物質)になる
  • 脳神経や筋肉の働きに不可欠な物質である

米国国立心肺血液研究所(NHLBI)も、コレステロールを「ろう状で脂肪に似た物質で、体が健康でいるために必要だが、適量であることが大切」と説明しています。つまり、足りなくても多すぎても問題になり得る物質です。

血中のコレステロールが極端に低い場合にも注意点があります。

血中コレステロール濃度が低いと貧血や脳出血などが起こりやすくなると説明されており、LDLコレステロールが非常に少ない状態は脳出血の危険因子となる可能性が指摘されています。

コレステロールはどこから来る?食事と体内合成

卵・肉・チーズの食事から矢印が肝臓の「コレステロール合成」へ延び、血液中のコレステロールが細胞膜とホルモンへ分かれて送られる流れを示した図。

コレステロールは、食事から取り入れるだけでなく、肝臓などで合成されます。
食事由来のコレステロール(食事性コレステロール)は、体内で作られるコレステロールの約3分の1から7分の1程度とされています。

さらに、体には調整機能があります。食事からの摂取量が多いと体内で作られる量が減り、摂取量が少ないと体内で作られる量が増えます。このため、食べたコレステロールの量がそのまま血液中の値に反映されるわけではありません。

血中コレステロールの大部分は肝臓で合成されたものです。肝臓で作られたコレステロールは血液で全身に送られ、細胞膜やホルモンなどの材料として使われます。

「善玉」「悪玉」と呼ばれる理由

コレステロールを運ぶ「リポたんぱく質」

コレステロールは血液に溶けにくいが、たんぱく質と脂質でできた丸いリポたんぱく質に包まれ、血管内を移動して全身へ運ばれる流れを示した3段階の図。

コレステロールは脂質なので、そのままでは血液(水分が主体)に溶けにくい性質があります。

そこで、たんぱく質などと結合した「リポたんぱく質」という粒子になって血液中を移動します。

リポたんぱく質は、脂質とたんぱく質でできた小さな丸い粒子で、血液中でコレステロールを全身に運びます。

LDLとHDLの違い

LDLは肝臓から全身へ、HDLは血管などから肝臓へコレステロールを運ぶことを赤と青で左右に比べ、通称や問題となる状態、両者のバランスの大切さを示した図。

LDL(低比重リポたんぱく質)は、肝臓から全身へコレステロールを運びます。

このLDLが運んでいるコレステロール量がLDLコレステロールで、一般に悪玉コレステロールと呼ばれます。

一方、HDL(高比重リポたんぱく質)は、血管壁などにたまったコレステロールを肝臓に運ぶ役割を持ち、その中のコレステロール量がHDLコレステロール、いわゆる善玉コレステロールです。

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項目LDLコレステロールHDLコレステロール
粒子の名称低比重リポたんぱく質(LDL)高比重リポたんぱく質(HDL)
主な運ぶ向き肝臓から全身へ血管などから肝臓へ
通称悪玉コレステロール善玉コレステロール
問題とされる状態高い場合(高LDLコレステロール血症)低い場合(低HDLコレステロール血症)
LDLコレステロールとHDLコレステロールの比較
名前に惑わされないために

善玉・悪玉は、コレステロールそのものの種類ではなく、運ぶ向きの違いに基づく呼び名です。

悪玉だから不要、善玉だからいくらあっても良い、というわけではなく、両者のバランスが大切です。バランスが崩れると脂質異常症と呼ばれる状態になります。

なぜコレステロールが多いと問題なのか

血管内にコレステロールがたまってプラークができ、破れて血栓が血管を塞ぎ、脳梗塞や心筋梗塞につながる流れの図。下段には、脂質異常症は通常症状がなく健診で数値確認が重要と示されている。

血中のコレステロールが必要以上に多くなると、余分なコレステロールが動脈の内側にたまり、こぶのようなものをつくります。
これが動脈硬化(アテローム性動脈硬化)と呼ばれる状態です。

動脈硬化が進むと血管が狭くなって血流が妨げられ、不安定なプラークが破れると血栓ができて血管を塞ぐことがあります。脳の動脈なら脳梗塞、心臓の冠動脈なら心筋梗塞の原因になります。

注意したいのは、脂質異常症があっても通常は何の症状もないことです。そのため、健診で数値を確認することが重要とされています。

中性脂肪との違い

血液中の脂質4種類を示し、コレステロールは体の材料、中性脂肪は燃料と比較。中性脂肪は食後に血中で増えるため空腹で採血すること、中性脂肪が高いとHDLコレステロールが低い傾向も図解している。

血液中の脂質には、コレステロール、中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸の4種類があります。このうち健診でよく話題になるのがコレステロールと中性脂肪(トリグリセライド)です。

役割が異なります。コレステロールが体を構成するための材料として使われるのに対し、中性脂肪は体を動かすための燃料のような役割を果たします。

中性脂肪は血糖に次ぐ予備燃料で、食事からとる脂肪のほとんどは中性脂肪になります。

中性脂肪は食後に血中レベルが高くなるため、空腹で採血しないと正しい値が測定できません。また、中性脂肪が高い人はHDLコレステロールが低いという傾向がよく見られます。

健診の基準値と脂質異常症

脂質異常症とは、血液中の脂質の値が基準値から外れた状態です。

LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライドの血中濃度の異常があり、いずれも動脈硬化の促進と関連します。

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項目基準値呼び名
LDLコレステロール140mg/dL以上高LDLコレステロール血症
LDLコレステロール120~139mg/dL境界域高LDLコレステロール血症
HDLコレステロール40mg/dL未満低HDLコレステロール血症
トリグリセライド(空腹時採血)150mg/dL以上高トリグリセライド血症
脂質異常症の診断基準(e-ヘルスネット掲載、空腹時採血の場合のトリグリセライド)

この基準に当てはまる場合でも、すぐに治療が必要というわけではありません。

また、HDLコレステロールは単独では投薬介入の対象にならないとされています。個々の目標値は、病態によって異なるため、主治医に確認することが大切です。

食事との関係:どこに気をつければよいか

健康な人と脂質異常症の方の注意点、LDLコレステロールが高い場合、中性脂肪が高い場合、HDLコレステロールが低い場合の要因を、食品やイラストで区分して示した図。

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、健康な人に対するコレステロールの摂取上限(目標量)は設定されていません。

体内の調整機能が働くことや、食事からの摂取量と血中値の関係に個人差が大きいことが理由です。

ただし、脂質異常症(特に高LDLコレステロール血症)の重症化予防の目的では、コレステロールの摂取量を1日200mg未満にとどめることが望ましいとされています。また、食事中のコレステロールを無制限にとってよいという意味ではありません。

LDLコレステロールが高い場合にまず意識したいのは、コレステロールよりも飽和脂肪酸です。

飽和脂肪酸は肝臓がLDLコレステロールを回収する力を弱め、結果として血中LDLコレステロール値を上げます。肉の脂身、バター、ラード、生クリームなどに多く含まれます。

食事中のコレステロールも、LDLコレステロールを高くしますが、個人差が大きく、飽和脂肪酸と比べると影響は小さいとされます。主な摂取源は鶏卵の黄身や魚卵です。

中性脂肪が高い場合は、エネルギーの摂りすぎ、特に甘いものや酒、糖質のとりすぎが要因とされ、HDLコレステロールが低い場合は、肥満・喫煙・運動不足が要因として挙げられます。禁煙や運動が改善に役立ちます。

なお、飲酒はHDLコレステロールを高くしますが、高血圧や肝障害を悪化させるため、HDLを上げる目的で勧められません。

治療を受けている方は、主治医や管理栄養士の指導に従ってください。

よくある疑問

コレステロールは体にとって必要ですか?

はい。細胞膜や胆汁酸、ホルモンの材料になるなど、体に必須の物質です。ただし体内で合成できるため、食事から必ず摂るべき必須栄養素ではありません。多すぎても少なすぎても注意が必要です。

卵はコレステロールが多いので控えるべきですか?

健康な人には食事摂取基準でコレステロールの摂取上限が設定されていません。一方、LDLコレステロールが高い人は、まず飽和脂肪酸を見直し、次いで鶏卵などコレステロールの多い食品も食べすぎないようにすることが勧められています。具体的な量は主治医や管理栄養士にご相談ください。

まとめ

コレステロールは、細胞膜・胆汁酸・ホルモンの材料になる大切な脂質で、肝臓で合成され、血液中ではLDLやHDLといった粒子に乗って運ばれます。

LDLは肝臓から全身へ、HDLは血管から肝臓へ運ぶため、前者が悪玉、後者が善玉と呼ばれますが、コレステロール自体の種類が違うわけではありません。

バランスが崩れた状態が脂質異常症で、自覚症状がないため健診での確認が役立ちます。

数値が気になる場合は、健診結果をもとに主治医へ相談し、食事や生活習慣の見直しを進めてください。

参考資料

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