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子供の身長と栄養はどう関係する?食事で気をつけたい基本の考え方

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身長計の前で頭に手を当てて笑う男の子と、考え込むように微笑むエプロン姿の女性。中央にサケ、卵、牛乳、ブロッコリー、トマトなどの食材が並び、「子供の身長と栄養はどう関係する?」と記されている。

お子さんの身長が気になると、「何を食べさせれば伸びるのだろう」と考えてしまうものです。

結論から言うと、身長は遺伝の影響が大きく、栄養はその残りの部分に関わる要素の一つと考えられています。
特定の食品で身長が決まるわけではなく、成長に必要なエネルギーと栄養素を、食事全体で無理なくそろえることが基本になります。

この記事では、国立成育医療研究センターや厚生労働省などの公的な情報をもとに、身長と栄養の関係、食事を考えるときの目安、偏食があるときの見方を、初めての方にも分かるよう順に整理します。

個々のお子さんの発育に不安がある場合は、小児科や健診などで相談することが大切です。

この記事の要点

身長のおよそ8割は遺伝、約2割は栄養状態や健康状態など幼い頃の生活環境で決まるとされています。
環境の部分に食事が含まれるため、特定の食品に頼るより、多様な食品でバランスよく食べることと、身長・体重を定期的に測って成長を見守ることが基本です。

YouTube動画でも解説していますので参考にしてみてくださいね!

【監修】乾 雅人 銀座アイグラッドクリニック 院長

監修者

銀座アイグラッドクリニック 院長
乾 雅人
(紹介ページ)

2010年、東京大学医学部卒業。同大学附属病院で初期臨床研修、外科専門研修を修了。同大学大学院では外科学(呼吸器外科)を専攻し、肺移植領域の研究に従事。2020年、銀座アイグラッドクリニックを開業。臨床行為に従事する傍ら、医療コンサルティング会社も経営。総合病院や製薬会社、保険会社、会計事務所などの業務を補佐し、医療の社会問題化と向き合っている。NMNの上位互換である5デアザフラビン(TND1128)臨床研究の第一人者でもあり、眠れる知財の普及に尽力している。

目次

身長は遺伝と栄養のどちらが影響するのか

人体シルエットで遺伝約8割と栄養や健康状態などの環境約2割を示し、身長は多因子形質で相互に影響すること、集団の説明で個人の身長予測ではないことを説明する図。

国立成育医療研究センターの研究発表では、身長の約8割は遺伝的に決まり、約2割は栄養状態や健康状態などの幼い頃の生活環境で決まると説明されています。

成人身長は幼少期の環境の指標になるともされています。

理化学研究所などの日本人約19万人の解析でも、身長に関わる573の遺伝的変異が同定されています。

身長は遺伝と環境が相互に影響する「多因子形質」の一つで、とくに遺伝の影響が強いことが知られています。

ここで誤解しやすい点があります。「約2割が環境」という数字は、食事だけで身長が2割変わるという意味ではありません。

栄養に加えて健康状態なども含んだ幅広い環境の影響を指します。

また、これは集団についての説明であり、個々のお子さんが何センチ伸びるかを予測するものでもありません。

栄養や生活環境の改善は日本人の身長にどう影響してきたか

明治時代からの栄養・衛生改善で100年間に平均身長が約15cm伸びた一方、1980年前後生まれをピークに成人の平均身長が低下傾向にあり、低出生体重児の増加が一因の可能性と示す3段構成の図解。

環境の影響は、長い期間の変化にも表れています。

日本では明治時代からの栄養・衛生状態の改善により、ここ100年間で平均身長が約15cm伸びたとされています。

一方で、1980年前後に生まれた世代をピークに、成人の平均身長は低下傾向に転じています。

同研究では、その一因として低出生体重児(2500g以下で生まれた児)の増加が関わっている可能性が示されました。

出生年ごとの低出生体重児率と成人の平均身長には強い逆相関がみられています。

これは集団全体を対象にした統計的な分析で、一因である「可能性」が示された段階です。

ご家庭の食事の工夫で出生時の状況が変わるわけではないため、保護者の方が過去を責める必要はありません。身長には出生前後からの積み重ねも関わる、という理解にとどめるのがよいでしょう。

成長期の食事で考慮したい栄養素

身長を伸ばす特定の栄養素や食品を示した公的資料は、今回の情報の中にはありません。

そのため「これを食べれば伸びる」という言い方は避けます。

代わりに、厚生労働省が児童福祉施設向けの食事計画で示している考え方が、家庭でも参考になります。

この通知では、子どもの健康状態や栄養状態に特に問題がないと判断される場合でも、基本的に次の栄養素を考慮するのが望ましいとされています。

  • エネルギー
  • たんぱく質・脂質
  • ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC
  • カルシウム、鉄
  • ナトリウム(食塩)、カリウム
  • 食物繊維

骨に関わるイメージからカルシウムだけに注目しがちですが、一つの栄養素に偏らず、これらをまんべんなく考える姿勢が大切です。

なお、これは児童福祉施設の食事計画の留意点であり、ご家庭での不足の有無や具体的な必要量は、年齢や性別によって異なります。

関連記事:成長期の子どものカルシウムを食事で意識するには?食品選びと組み合わせの考え方

三大栄養素のバランスの目安

食事全体のバランスを見る目安として、エネルギー産生栄養素バランスがあります。

総エネルギーに占める割合として、たんぱく質は13〜20%、脂質は20〜30%、炭水化物は50〜65%の範囲が目安とされています。

栄養素目安の範囲
たんぱく質13〜20%
脂質20〜30%
炭水化物50〜65%
エネルギー産生栄養素バランスの目安(総エネルギーに占める割合。児童福祉施設の食事計画での目安)

家庭でグラム数まで計算する必要はありません。

主食・主菜・副菜がそろっているか、どれかが極端に少なくないか、という見方で十分に活用できます。

たんぱく質を増やそうとして主食を減らしすぎると、成長に必要なエネルギーが不足することもあるため注意が必要です。

身長・体重を測って成長曲線で見守る

身長計で身長を測る子どもと体重計に乗る子どもの絵から矢印が伸び、身長と年齢を軸にした成長曲線のグラフに点が示されている図。

健全な発育・発達のために必要なエネルギー量を摂取することが基本であり、定期的に身長と体重を計測して成長曲線に照らし合わせ、個々の成長の程度を観察・評価することが示されています。

家庭で取り入れる場合の流れの例です。

  1. 同じ条件(朝など同じ時間帯、同じ測り方)で身長と体重を定期的に測り、記録する
  2. 母子健康手帳や学校の健診結果に載っている成長曲線に、記録を書き込んで見比べる
  3. 他の子との比較ではなく、お子さん自身の曲線の流れを見る
  4. 曲線から大きく外れる、急に伸びが止まったように見えるなどの場合は、かかりつけの小児科などに相談する

身長の伸びの個人差は大きいため、ある時点の数字だけで判断せず、経過で見ることがポイントです。

関連記事:子どもの「日光浴」とは?外遊びと紫外線の付き合い方を整理

偏食があるとき保護者はどう考えればよいか

偏食への具体的な対応法を示した資料は今回の情報にないため、ここでは食事計画の考え方から整理します。

厚生労働省の通知では、献立づくりでは季節感や地域性を考慮し、品質が良く幅広い種類の食品を取り入れること、子どもの食の嗜好や体験が広がり深まるよう、多様な食品や料理の組み合わせに配慮することが示されています。

この考え方を家庭に当てはめると、次のような見方ができます。

  • 1食ずつではなく、数日単位で全体のバランスを見る
  • 食べられる食品が少ない場合も、先に挙げた栄養素のどれが偏りそうかを確認する
  • 調理方法や料理の組み合わせを変えて、さまざまな食品に出会う機会を保つ
  • 食事量や残した量の様子を記録し、改善の手がかりにする

食事量や残食量などを把握して目標の達成度を評価し、その後の計画を改善するという流れも、同じ通知に示されています。

食べる量が極端に少ない、体重が増えにくいなどの心配がある場合は、家庭だけで抱え込まず、小児科や管理栄養士に相談してください。

目安を使うときの注意点

ここで紹介した食事摂取基準は、健康な個人および集団を対象にしたものです。

障害や疾患があるなど身体状況や生活状況が個人で大きく異なる場合は一律の適用が難しく、個々の発育・発達状況や栄養状態に基づいて計画を立てるとされています。

身長が低めなのは、食事のせいでしょうか?

身長のおよそ8割は遺伝的に決まるとされており、食事だけが原因とは限りません。環境の部分には栄養のほか健康状態なども含まれます。成長曲線で経過を見て、気になる場合は小児科で相談してください。

まとめ:特定の食品より、食事全体と経過の観察を

子供の身長は遺伝の影響が大きく、栄養はその一部である幼少期の環境として関わります。

食事では、エネルギーやたんぱく質、ビタミン、ミネラルなどを幅広い食品でそろえ、主食・主菜・副菜のバランスを整えることが基本です。

あわせて身長と体重を定期的に測り、成長曲線でお子さん自身の経過を見守ってください。偏食や発育に不安があるときは、早めに専門職へ相談することをおすすめします。

参考資料

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