
ただし、食べる順番についての研究は2型糖尿病患者などを対象にしたもので、誰にでも同じ効果があると言えるわけではありません。
この記事では、初めて食事を見直す方がつまずきやすい用語(糖質、食物繊維、GI)を先に説明したうえで、順番・主食・食物繊維・組み合わせの順に、公的機関の情報をもとに解説します。
持病や医師からの食事指示がある方は、そちらを優先してください。
- 炭水化物は「糖質」と「食物繊維」に分かれ、血糖値を上げる主な原因は糖質、急な上昇を抑えるのは食物繊維です。
- 野菜から先に食べる方法は、2型糖尿病患者を対象とした試験で食後血糖の上昇が抑えられたと報告されています。
- 主食は玄米・麦ごはんなど食物繊維の多いものへの置き換えを検討できます。
- 極端な糖質制限は勧められておらず、バランスが基本です。
YouTubeでも解説していますので参考にしてみてくださいね!

監修者
銀座アイグラッドクリニック 院長
乾 雅人(紹介ページ)
2010年、東京大学医学部卒業。同大学附属病院で初期臨床研修、外科専門研修を修了。同大学大学院では外科学(呼吸器外科)を専攻し、肺移植領域の研究に従事。2020年、銀座アイグラッドクリニックを開業。臨床行為に従事する傍ら、医療コンサルティング会社も経営。総合病院や製薬会社、保険会社、会計事務所などの業務を補佐し、医療の社会問題化と向き合っている。NMNの上位互換である5デアザフラビン(TND1128)臨床研究の第一人者でもあり、眠れる知財の普及に尽力している。
まず知っておきたい用語:糖質・食物繊維・GI

炭水化物は、消化されてエネルギー源になる「糖質」と、エネルギーにはならないものの整腸作用や血糖上昇を緩やかにする働きをもつ「食物繊維」に分かれます。
糖質は生きるために必要な栄養素で、悪者ではありません。ただし摂りすぎると、糖尿病や肥満、メタボリックシンドロームにつながるおそれがあります。
食物繊維は、小腸で消化されずに大腸まで届く食品成分です。水に溶けてねばねばするものから、さらさらしたものまで種類があり、野菜や果物、海藻類などに含まれます。
グリセミック・インデックス(GI)は、炭水化物を含む食品を食べたあとの血糖値の上がりやすさを数値で示したものです。
e-ヘルスネットでは、GIの高い白米やうどんをGIの低い玄米やそばに置き換えることで、血糖値の急上昇を抑えられると説明されています。
食べる順番は本当に関係があるのか
野菜→主菜→主食の順で食べる方法

「食べる順番療法」として紹介されている方法は、毎食最初に野菜をよくかんで食べ、次にたんぱく質のおかず、最後にご飯・めん類・パン・いも類などの炭水化物を食べる、というものです。
野菜は握り拳1~2個分が目安とされ、生だけでなく、ゆでる・蒸す・煮る・炒めるなど加熱したものでもよいとされています。海藻やきのこも野菜と同じ扱いです。

どんな試験で、何が報告されているか

2型糖尿病患者を対象に、野菜→主菜→主食の順で食べた日と、主食→主菜→野菜の順で食べた日の血糖変動を、持続血糖測定器でクロスオーバー法により比べた報告があります。
同じ栄養量でも、野菜から食べた日は食後高血糖が改善し、24時間の血糖変動幅が縮小したとされています。
健康な人でも同様の結果が認められたと述べられています。
なぜ効果が出ると考えられているのか
また、炭水化物の前に野菜を食べることで、インスリン分泌を促すホルモン(GLP-1)の分泌が増え、胃内容物の排出が遅れるなどして食後血糖の上昇が抑えられた、と推測されています。
これらはあくまで推察で、仕組みが確定したという書き方ではない点に注意してください。
紹介した報告は、2型糖尿病患者を中心とした試験や、報告者らの指導経験にもとづく内容です。健康診断で指摘を受けた段階の方が同じ程度の変化を得られると保証するものではありません。
野菜を食べる量が少なくなる、よくかまずに急いで食べる、といった形では本来の方法になりません。治療中の方は、必ず主治医や管理栄養士に相談してください。

主食を選ぶときに見るポイント

糖の吸収を穏やかにしたいとき、順番とあわせて見直したいのが主食です。
e-ヘルスネットでは、玄米、大麦、野菜、豆類、きのこ、海藻などは食物繊維が多いため積極的に摂るよう説明されています。
主食なら、白米を玄米に、うどんをそばに置き換えるといった方法が挙げられています。
食物繊維を手軽に増やすなら、1日のうち1食の主食を麦ごはん、胚芽米ごはん、全粒小麦パン、ライ麦パン、そば、スパゲティなどにする方法があります。精白米やふつうの食パンに比べて、効率よく食物繊維をとれます。
糖尿病情報センターの献立例でも、コンビニ食では「玄米や麦など食物繊維の多い主食を選ぶ」とされ、雑穀米おにぎりやパックのもち麦ごはんが使われています。外食やコンビニでも取り入れやすい具体策です。
炭水化物を重ねない・甘い飲み物に注意する

「ラーメンとライス」「パスタとパン」「うどんとおにぎり」のように炭水化物を組み合わせた献立は糖質過多になるおそれがあるため、組み合わせの見直しが勧められています。ご飯のおかわりやラーメンの大盛りの習慣にも注意が必要です。
清涼飲料水や菓子類の糖質は速やかに吸収されて血糖値を急に上げるため、控えめにするよう説明されています。
砂糖の主成分であるショ糖を多く含む甘味やジュースも、摂りすぎに注意が必要です。
食物繊維はどんな食品に含まれるのか

食物繊維は魚介類や肉類などの動物性食品にはほとんど含まれず、植物性食品に多く含まれます。
e-ヘルスネットは、平均的な1食あたりの目安量に2~3gの食物繊維が含まれる食品として、次のものを挙げています。
- 穀類・いも類:大麦(押し麦)、そば、さつまいも、さといも
- 豆類・大豆製品:糸引き納豆、おから、いんげん豆、あずき
- 野菜・きのこ・海藻:切り干し大根、ごぼう、ブロッコリー、モロヘイヤ、しいたけ、ひじき
- 果物:りんご
どれくらいを目安にするか
増やし方としては、まず1日あたりプラス3~4gを目安に、無理のない範囲で取り入れるとよいとされています。
具だくさんのみそ汁にする、バナナやみかんを間食にするのも手軽な方法です(みそ汁は食塩摂取量に注意)。
食事の組み合わせの基本:主食・主菜・副菜
e-ヘルスネットでは、1回の食事で主食(ごはんやパン)、主菜(おかず)、副菜(野菜のおかず)を組み合わせると、炭水化物・たんぱく質・脂質の栄養バランスが整いやすいと説明されています。
焼きそばのような一品料理も、麺を主食、肉を主菜、野菜を副菜と分けて考えるとよいとされます。
糖尿病情報センターのコンビニ向けのポイントにも「丼ものや麺類の単品にせず副菜を追加する」「ドレッシングはノンオイルや減塩タイプを選ぶ」「果物は1日80kcal程度までにする」などが並びます。
親子丼に海藻とオクラのサラダを添える例のように、単品に副菜を足す発想が基本です。
量を調整する例
お弁当はご飯の量が多くなりがちです。
献立例では、幕の内弁当のご飯75gを残すと糖質は約28g減る(茶碗1/2膳程度)とされています。量が多いときに残す、という調整も現実的な方法です。
極端な糖質制限は勧められていない
「糖が気になるから主食を抜く」という方向に進む前に押さえたい点があります。
糖質を極端に(ゼロまたはそれに近く)制限しながら1日の摂取カロリーを変えない方法は、効果や安全性が証明されておらず、長続きしにくいため、現時点では勧められていません。
日本糖尿病学会は、炭水化物の摂取比率を総エネルギー量の50~60%とすることを推奨しています。
規則正しく、ゆっくり食べる
食べ方そのものも大切です。1日3食を基本に、時間を決めて規則正しく、3食の量に偏りがないよう食べることが勧められています。
「まとめ食い」を避けることで、血糖値の急上昇や高血糖の持続を防げるとされ、欠食、遅い時間の夕食、間食の過多なども見直す対象です。
今日から試せる手順
ここまでの内容を、仮の1日の流れとして整理します。あくまで考え方の例で、量や内容は個人で異なります。
- 食事の最初に、野菜・海藻・きのこの小鉢を食べる(ゆっくりよくかむ)
- 次に魚・肉・卵・大豆製品などの主菜を食べる
- 最後に主食を食べる。1日1食から麦ごはんや玄米、そばなどに置き換えてみる
- 丼ものや麺類は単品にせず、副菜を足す。炭水化物どうしの組み合わせは避ける
- 甘い飲み物や菓子は控えめにし、間食は果物などを適量にする
- 3食を規則正しく、ゆっくり食べる
