
皮膚の表皮にあるケラチノサイト(角化細胞)という細胞の中で、細胞の骨組みのような役割を担っています。
この記事では、ケラチンが体のどこにどんな形で存在するのか、コラーゲンとは何が違うのかを順に整理します。
ケラチンは1種類ではなく、複数の種類が集まった「タンパク質のグループ」です。皮膚・髪・爪の細胞の骨組みになり、外からの摩擦や刺激に耐える強さを支えています。
コラーゲンは主に皮膚の真皮など結合組織にあるタンパク質で、ケラチンとは存在する場所が異なります。
ケラチンとは何か

「タンパク質の一種」と言われるのは、ケラチンがアミノ酸がつながってできた分子だからです。ケラチンの分子は、数万から数十万という分子量で鎖状につながっているとされています。
ここでの「ケラチン」は、特定の1つの分子ではなく、似た性質を持つ複数のタンパク質の集まりを指すと考えると分かりやすくなります。
ケラチンは体のどこにあるのか
皮膚のケラチン

皮膚の一番外側にある表皮では、ケラチノサイトがケラチンをつくります。
表皮の基底層では細胞分裂によって毎日新しいケラチノサイトが生まれ、後から分裂する細胞に押し上げられて角層に達し、角層細胞に変化します。角層細胞は核のない細胞で、内部にケラチンという線維状のタンパク質を大量に抱えています。
表皮の最表面にある角層は、外部からほこりや菌などの刺激が体内に入るのを防ぎ、体の水分が過剰に蒸散するのを防ぐバリア機能を持ちます。
ケラチンを抱えた角層細胞が重なることで、この薄い層ができています。
髪のケラチン

髪は、外側からキューティクル、コルテックス、メデュラの3つの部分でできています。
花王のヘアケアサイトによると、髪の化学的な構成成分はケラチンと呼ばれる繊維状タンパク質を中心とするタンパク質が主成分で、残りは脂質やメラニン色素などです。また毛髪のタンパク質は、シスチンというアミノ酸が多いのが特徴とされています。
髪の85〜90%を占めるコルテックスは、繊維状の束とそれを取り巻く構造でできています。この部分のタンパク質・脂質の構造や水分量が、髪の柔軟性や太さに影響するとされています。
爪のケラチン

爪も、皮膚や髪と同じくケラチノサイトがつくる構造の一つです。皮膚の表皮にあるケラチノサイトはケラチンをつくり、このケラチンが皮膚・髪・爪の構造の大部分を占めています。
ケラチンが「強さ」を生むしくみ
ケラチンは単独ではたらくのではなく、別のケラチンと組み合わさって「中間径フィラメント」という繊維状の構造をつくります。たとえばケラチン1というタンパク質は、ケラチン9またはケラチン10と対になってこの構造をつくります。
遺伝子の変化でケラチンの網目が弱くなると、皮膚の細胞がもろくなり、摩擦などで水ぶくれができやすくなる皮膚の病気があることが知られています。
これはケラチンが皮膚の強さを支えていることを示す例ですが、気になる症状がある場合は医療機関に相談してください。
皮膚の中でケラチンはどう変化していくのか

表皮では、基底層で生まれたケラチノサイトが押し上げられながら変化し、やがて角層から自然にはがれ落ちます。
この営みは角化、またはターンオーバーと呼ばれ、基底層で新しいケラチノサイトが生まれてからはがれ落ちるまで、およそ4週間以上の周期で繰り返されると説明されています。
ケラチンとコラーゲンの違い

どちらも皮膚にあるタンパク質ですが、存在する場所と役割が異なります。
ケラチンは表皮のケラチノサイトの内部にあり、皮膚・髪・爪の構造をつくります。
一方コラーゲンは、皮膚の深い層である真皮を支えるタンパク質で、線維芽細胞によってつくられます。
| 比較項目 | ケラチン | コラーゲン |
|---|---|---|
| 主な場所 | 表皮(ケラチノサイトの内部)、髪、爪 | 真皮などの結合組織 |
| つくる細胞 | ケラチノサイト | 線維芽細胞 |
| 皮膚での役割 | 細胞の骨組みとなり、外部からの刺激に耐える強さを支える | 真皮を支え、表皮に耐久性を与える |
ケラチンの研究と利用の広がり
ケラチンは体の構造材料としてだけでなく、研究の素材としても注目されています。
シンガポールの南洋理工大学の研究チームは、美容院で集めた髪の毛から抽出したケラチンを使い、水耕栽培用の基材を開発しました。この基材はケラチン単独では強度が足りないため、針葉樹パルプ由来のセルロース繊維と混ぜて強化しています。
また筑波大学の研究チームは、羊毛由来の水溶性酸化ケラチンを微小な球体ゲルにして、毛を剃ったマウスに塗る実験を行いました。この実験では、水のみを塗ったマウスより毛が早く生え始めたと報告されています。ただしこれはマウスでの結果で、メカニズムも今後検証される段階です。
人での効果や、市販のケラチン配合製品の効果とは別の話ですので、混同しないよう注意してください。
よくある疑問
まとめ
ケラチンは、皮膚・髪・爪の細胞の骨組みとなる、丈夫な繊維状のタンパク質グループです。
表皮ではケラチノサイトがつくり、角層細胞の内部に大量に含まれてバリア機能を支えます。髪ではケラチンを中心とするタンパク質が主成分です。
コラーゲンは主に真皮にあるタンパク質で、表皮のケラチンとは場所も役割も異なります。研究段階の話と日常のケアの話は分けて受け止めると、情報に振り回されにくくなります。
参考資料
- KRT1 gene: MedlinePlus Genetics
- Layers of the Skin | SEER Training
- 花王 | スキンケアナビ | 表皮の角化
- 花王 | スキンケアナビ | 表皮の構造と働き
- 髪の構造|髪の知識|花王株式会社 ヘアケアサイト
- 美容院で集められた髪の毛からケラチン抽出、野菜を育てる水耕栽培用機材に使用 シンガポール|ASEAN科学技術ニュース|Science Portal ASEAN ASEANの科学技術の今を伝える
- ケラチンの球体ゲルで発毛・育毛 産後の抜け毛対策にも活路 筑波大 | Science Portal – 科学技術の最新情報サイト「サイエンスポータル」
