
この記事では、WHO(世界保健機関)、気象庁、国立環境研究所など公的機関の情報をもとに、紫外線の影響、ビタミンDとの関係、日常で確認したいポイントを順番に整理します。
紫外線は、浴びすぎると日焼け・皮膚がん・白内障などの原因になります。いっぽうで、少量は体内でビタミンDを作るために役立ちます。「避けるだけ」ではなく、強さを確認して浴び方を調整する考え方が基本です。

監修者
銀座アイグラッドクリニック 院長
乾 雅人(紹介ページ)
2010年、東京大学医学部卒業。同大学附属病院で初期臨床研修、外科専門研修を修了。同大学大学院では外科学(呼吸器外科)を専攻し、肺移植領域の研究に従事。2020年、銀座アイグラッドクリニックを開業。臨床行為に従事する傍ら、医療コンサルティング会社も経営。総合病院や製薬会社、保険会社、会計事務所などの業務を補佐し、医療の社会問題化と向き合っている。NMNの上位互換である5デアザフラビン(TND1128)臨床研究の第一人者でもあり、眠れる知財の普及に尽力している。
紫外線とは?まず知っておきたい基本

人工的な紫外線を浴びる人もいますが、太陽からの紫外線には誰もが触れています。
見えないため、「まぶしくない日は大丈夫」と思い込みやすい点が、つまずきやすいところです。
浴びすぎるとどんな影響がある?

国立環境研究所は、紫外線を浴びすぎると日焼け、シミ、しわ、皮膚がん、白内障の原因になるほか、免疫機能の低下を引き起こすなど、様々な悪影響を及ぼす可能性があると説明しています。
短期的な影響と長期的な影響
気象庁は、紫外線による健康被害を、日焼けなどの急性のものと、長年の蓄積により皮膚がんなどのリスクを高める慢性のものに分けています。そして、子供のときから正しい対策をとることが重要だとしています。
| 部位 | 短期(急性)の影響 | 長期(慢性)の影響 |
|---|---|---|
| 皮膚 | DNAの損傷、日焼け、光毒性・光アレルギー反応、免疫の抑制 | 皮膚がん(メラノーマ、有棘細胞がん、基底細胞がん)、早期の皮膚老化 |
| 目 | 光角膜炎・光結膜炎(角膜や結膜の炎症) | 白内障、翼状片、目や周囲のがん |
目の急性の影響である光角膜炎や光結膜炎は、保護用のメガネで防ぎやすく、通常は長期的な障害とは結びつかないとされています。ただし痛みを伴い、治療が必要になることもあります。
紫外線にはよい面もある?ビタミンDとの関係

ビタミンDは骨を丈夫にする成分の一つであるカルシウムの吸収を助ける栄養素です。
国立環境研究所は、紫外線を浴び過ぎない範囲での日光浴は健康によいと考えられるとしています。
「有害な紫外線」と「ビタミンDを作る紫外線」は重なっている

地球環境研究センターの解説では、人体に有害な紅斑紫外線と、ビタミンDを生成する紫外線は、ほぼ同じ波長域に存在します。
このため「有害な部分だけ避ける」ことは難しく、浴びる量の調整が重要になります。
ビタミンDが不足するとどうなる?

厚生労働省eJIMが掲載する海外情報では、ビタミンDが不足すると、子供ではくる病、10代や大人では骨軟化症を引き起こすとされています。
なお、このページの推奨量や上限値は米国人を対象としたデータであり、日本人については「日本人の食事摂取基準」などを参照するよう案内されています。
国立環境研究所の研究者へのインタビューでは、日本でも近年、若い女性を中心にビタミンD不足の人が増えていると述べられています。
紫外線は危険という考えが広まり、日光を避けたり冬でも日焼け止めを塗ったりする人が増えたことが背景にあると考えられています。ただし、これは研究者の見方であり、原因が確定したという意味ではありません。
日光浴の代わりに人工的に肌を焼く日焼けマシンを使うことは、WHOは勧めていません。
日焼けマシンは皮膚がんのリスクを高め、ビタミンDを十分に得る手段として考えてはいけないとされています。
紫外線が強くなる条件と、特に気をつけたい人
紫外線の強さを左右する要因

WHOによると、地表の紫外線量は太陽の高さ、緯度、標高、雲、オゾン、反射などの影響を受けます。
太陽が高いほど、赤道に近いほど、標高が高いほど強くなります。
- 曇りの日でも紫外線は強いことがあります(雲がない空で最も強くなります)
- 水面、砂、新雪などの反射面は紫外線量を増やします
- オゾンが少ないと、より多くの紫外線が地表に届きます
気象庁は、那覇では12月以外のすべての月で紫外線の強い日が見られ、札幌でも冬を除いて中程度以上の日が出現するため、緯度の高い地方でも対策が必要だとしています。これは1994〜2008年の統計に基づく説明です。
影響を受けやすいとされる人

WHOは、子供や青少年は皮膚や目の構造のために紫外線の悪影響を特に受けやすく、子供のころの日焼けは将来の皮膚がんリスクを高めるとしています。
また、色白の人は日焼けしやすく皮膚がんのリスクも高い一方、肌の色が濃い人も皮膚がんになります。
目への影響は誰にとっても大切な視点です。ほくろが多い人、光感作を起こす薬を服用している人、皮膚がんの家族歴がある人、屋外で働く人もリスクが高まるとされています。
UVインデックスで「今日の強さ」を確認する
UVインデックス(UV指数)は、地表の紫外線の強さを表す指標で、皮膚へのダメージの可能性を示します。値が高いほど皮膚や目への害の可能性が大きく、害が出るまでの時間も短くなります。
気象庁は、UVインデックスの観測値や予測情報を提供しています。環境省の「紫外線環境保健マニュアル」にも、UVインデックスに応じた対策の具体例が示されています。
外出前に確認する習慣をつけると、「今日は強いかどうか」を感覚ではなく数値で判断できます。
日常でできる紫外線対策
WHOが勧める対策は次のとおりです。特別な道具がなくても、行動の工夫でできるものが多くあります。
- 日中(正午前後)の日差しの下で過ごす時間を控える
- 日陰を利用する
- 衣服で覆う
- つばの広い帽子で目・顔・耳・首を守る
- 紫外線を99〜100%カットするサングラスを使う
- 衣服で覆えない部分には、広範囲の紫外線を防ぐ日焼け止めを使う
WHOは、紫外線を防ぐには日陰と衣服が最も効果的で、日焼け止めよりも優先されるとしています。また、日焼け止めを日光の下で過ごす時間を延ばすために使うべきではないとしています。
気象庁も、紫外線が強いときは帽子や長袖の衣服が有効であり、朝夕の弱い時間帯に外出をずらすことも一案だとしています。
子どもの外遊びと紫外線の付き合い方については、別の記事でも整理しています。日焼けの仕組みを知りたい方は、あわせて読むと理解が深まります。

どのくらい浴びればよい?ビタミンDのための日光浴の考え方
必要な時間は、地域や季節で大きく変わります。
これは研究チームの計算による例で、欧米人のデータをもとに日本人向けに工夫したものです。個人の肌のタイプや露出部位でも変わるため、すべての人に当てはまる数字ではありません。
同じ研究者は、長袖シャツ・長ズボンで手と顔を出す場合、関東地域の5〜8月は10分以上30分以下、12〜2月は40分以上2時間以下がおすすめと述べています。ガラス窓の内側では紫外線が遮られるため、ビタミンDは合成されません。
ここで紹介した時間は研究チームの計算例です。肌の状態、年齢、持病、服用中の薬によって適切な浴び方は異なります。具体的に迷うときは、かかりつけの医師などに相談してください。
ビタミンDはサプリメントで補えばよい?
WHOは、外出がほとんどできない人や、全身を覆って過ごす人、高緯度に住む肌の色素が濃い人など、日光に当たる機会が非常に少ない人は、ビタミンDの経口補給を検討するよう述べています。
一方、eJIMの海外情報によると、ビタミンDは摂り過ぎると害になる可能性があり、高値は主にサプリメントの過剰摂取で起こります。
薬との相互作用もあり得るため、利用前に医師や薬剤師へ相談することが勧められています。
まとめ
「紫外線は体に悪い」は、浴びすぎた場合には当てはまります。
日焼け、皮膚の老化、皮膚がん、目の病気などのリスクがあり、特に子供の頃の日焼けには注意が必要です。
一方で、少量の紫外線はビタミンDの生成に役立つため、過度に避けすぎることも見直したい点です。
大切なのは、UVインデックスで強さを確認し、日陰・衣服・帽子・サングラスなどで浴びすぎを防ぎつつ、季節や地域に合った浴び方を考えることです。個別の健康状態に関わる判断は、医療機関に相談してください。
